日時|2014年4月6日(日)11時半 野川公園北門 集合
http://www.telmap.net/map/127094
場所|三鷹市 野川公園
会費|500円
持物|ひとり一品持ち寄り、好きな飲物を持参のこと。
※野川公園はゴミ箱が小さいため、ゴミは各自持ち帰りです。ご協力お願いします。
お申込み (お問い合せ)|info@smallcamp.org
【お名前、参加にあたりコメント】をお書き添え下さい。
*本編の長いため輪読用に短くしたテキストのプリントを、こちらでご用意します。
*面倒を見れる大人が一緒の場合に限り、子どもさんも歓迎です。
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課題図書|坂口安吾「桜の森の満開の下」
そこは桜の森のちょうどまんなかのあたりでした。四方の涯は花にかくれて奥が見えませんでした。日頃のような恐れや不安は消えていました。花の涯から吹き寄せる冷めたい風もありません。ただひっそりと、そしてひそひそと、花が散りつづけているばかりでした。彼は始めて桜の森の満開の下に坐っていることができます。彼はもう帰るところがないのですから。(坂口安吾『桜の森の満開の下』)
4月は、坂口安吾の名作『桜の森の満開の下』で花見を兼ねたキャンプを張ります。
主人公は粗野な山賊の男、彼は桜の森を畏れています。
その畏れは美しくも残酷な女への思いとも似て、男を不安にさせるのです。
男の内面の奥深く暗闇をのぞきこむような当作品を、桜の下でみなさんと共になぞる。そして男が、またおそらくわたしたちの誰しもが、心のどこかで抱いている畏怖にも似た不安を喚起させる桜の満開の美しい姿。それを全国に(前線という画一を伴い)もたらすソメイヨシノという品種の成り立ちと近代日本を巡る短い時間の旅に、みなさんと共に参れたらと思います。旅の水先案内人は、近代日本思想に造詣の深い編集者の山田文恵さん。今回企画の背骨は山田さんが立ててくださいました。
現在ほぼ同時期に一斉に咲き、あっという間に散っていくソメイヨシノは、各地に「同じ春」をもたらし、わたしたちは「同じ春」の体験を共有します。17世紀中頃に生み出された新種であるソメイヨシノ。大日本帝国の拡大に伴い、日本列島全域および植民地に増殖した、この花のもたらしたものはなんであったのか。
江戸以前には、地域ごとに風土や環境に適したさまざまな品種の桜が咲いていました。多くは一本桜で、桜の名所といえば由緒を持つ場所であり、桜にもその桜独自の物語があったのです。ソメイヨシノの増殖の影で失われた、多様で豊かな桜の物語たち。
グローバリゼーションという言葉を耳にするようになり、ずいぶん経ちます。今なお、わたしたちはどうしようもなく(いよいよ速度を増して)ひとつになっていく。
わたしたちが今現在も絶え間なく失いつつあるもの、とすでに失ってしまったもの。
桜のもと、文学と歴史を通してそれらをふりかえり、まだ握りしめているものについて愛おしむ。春のひととき、そういった時間をみなさんと共に持てたらさいわいです。
【この集まりでやること】
・『桜の森の満開の下』の輪読後、山田さんによる近代日本と桜についてのお話し。全員で本作やお話しについての感想を一巡し述べ合った後、通常のいわゆるお花見宴会に移ります。
*数人で輪になって行う輪読は、それぞれの人の持つ異なる声(音)とテンポで奏でられることばの音楽のようで、読むのも聞くのも楽しい体験です。
【関連】
→ 【企画ノート】「桜というお化け」考